磯貝三丁目にある三棟並ぶ三階建て団地。その一棟の三階にある一室には、親子が住んでいた。その部屋に住む少女はラグランのスウェットと厚手のパンツを身につけ、レイヤーショートの髪をすいて、台所に行って二人分の朝食を作った。ベーコンエッグとレタスとトマト、ヨーグルトとデザートのデコポンを半分に割って、片方を残した。 「食器はお父さんにやってもらおう」 少女は朝食を食べ終えると、居間の近くの部屋で寝ている父親に声をかけた。 「お父さん、わたし先に行ってくるね。後片付けと洗濯物もよろしくね」 するとドアの向こう側から、「わかった〜」とけだるい声がした。少女は父親にそう告げると、居間にある仏壇のリンを鳴らしてから、遺影の女性に声をかける。 「お母さん、行ってきます」 少女はコートを羽織り、通学用のドラムバッグを持つと、靴を履いて玄関を飛び出していった。 冬の朝は五度前後で、吐く息が白くついて、宇多川比美歌は団地を出ると、駅に向かうバス停でバスを待った。 「うう〜、早く来ないかな〜」 比美歌は外の冷気に耐えながら、バスを待った。空は薄い灰色で周囲の店や建物や家屋には人の気配はなく、道路も走っている車は少ない。ようやくバスが来ると、比美歌は乗り込んで、定期入れをバス入車のカードリーダーに当てる。バスの中はスーツ姿のサラリーマンや市外の学校へ向かう高校生や大学生、今は入試の時期のため、市外の高校入試を受ける中学生もいた。バスは満席でも、立つスペースはあったため、比美歌は手すりにつかまる。 (転校してから、通学時間が早くなっちゃったから、朝食作るのも手がかかるよ) 比美歌は十一月半ばまでは保波市内の県立保波高校に通っていた。十一月最初の日の文化祭の歌のイベントに出たところ、文化祭に来ていた音楽プロデューサーの玉城五夢氏によってスカウトされ、歌手デビューのために錦石町にある浄美アートアカデミーに転校したのだった。保波高校の同級生と別れるのは寂しかったが、住んでいる地域が同じならまた会えるので、そこは問題なかった。 比美歌は保波駅に到着すると、市外の学校へ向かう学生や他市にある職場に行くサラリーマンやOLが利用する構内に入り、定期券を使って改札機を潜り抜け、上りの電車が来るホームで大勢の乗客にまじって電車が来ると朝の通勤電車に乗り込んで、満員電車に揺れながらも錦石町に向かっていった。錦石町に着くと、ここが勤務地や通学先である会社員や学生と共に降車して保波駅よりおしゃれで広々なエントランスを抜けて、更に駅から歩いて七分の場所にある浄美アートアカデミーに到着する。ビル街の中にある珍しい学校で、校舎も校庭や体育館のある二〜三階建ての建物でもなく、七階建ての白と灰色の石材と金属材の近代的な校舎で、校舎の門前には『浄美アートアカデミー』と彫られた大理石の石碑があった。 校舎内は自動ドアを潜り抜けて、警備員が受付におり、生徒たちは学校から支給された電子カードの学生証をリーダータッチして入るシステムである。 アカデミーの中は六歳以下の子が通う幼等部、小学生が通う初等部、中学生の中等部、どこのクラスも一学年につき十数人が在学し、高等部にもなると歌手コース、俳優コース、モデルコースと分かれてくる。 「おはようございます」 「おはよう」 初等クラスの子から挨拶の言葉を向けられた比美歌は返事をする。部屋の中は白い壁と天井、床はベージュと明るい色で配色され、扉も引き戸ではなく、バーで開閉するタイプである。比美歌は六階にある高等部一年歌手コースの教室に入り、今の同級生に挨拶する。 「おはよう」 「おはよう、比美歌ちゃん」 先に来ていた同級生は入ってきた比美歌に挨拶する。教室内は黒板ではなく、ホワイトボード、机も一度に四人が座れる長机と長椅子で、個人の荷物を入れるロッカーもなく、普通の教室よりもやや狭かった。 歌手コースの同級生は比美歌も含めると十三人で、八人が女子であった。何より先生も生徒も名字よりも個人名で呼び合うことが多かった。 「ねーねー、比美歌ちゃん。岡田裕介(おかだ・ゆうすけ)が出演しているドラマ、観た?」 女子の一人が比美歌に尋ねてきた。 「うん、観たよ。確か主人公のお父さんの愛人が現れて、男の子を連れてきて……って話だったよね」 「比美歌ちゃんも観てたんだ。わたしは主人公の妹役の栗原よりの演技も迫力があったな、って思う。女子高校生だけど、本当に怖い顔が上手かったよね」 と、まあ芸能学校ではドラマや歌番組、ワイドショーやバラエティー番組に出ている芸能人の話題が多かった。比美歌は俳優の岡田裕介の主演ドラマを観ているのは、自身の尊敬する歌手、MOEが主題歌を担当しているからでもあったが。 芸能学校での授業は演技や歌唱やダンスや歩き方などの芸能活動に関する授業ばかりではなく、普通科の授業のように国語や数学や英語、理科や社会の勉強も行う。といっても普通科の以外の学科のある学校なら、その学科のメイン科目の授業が多くて当たり前なのだが。 (にしても、今まで歌手になるための特訓は休みの日にカラオケや自己流の発声や発音の練習だったから……。芸能学校となると本格的になって、体力使うな) 比美歌はダンスレッスンの途中休憩をし、他の生徒たちも壁側に寄り添って体育座りをしている。ダンスレッスンはTシャツやナイロンパンツ、スパッツといった動きやすい服装をし、女子の数人はレオタードにレッグウォーマーもいた。比美歌はスポーツ店で買ったTシャツとスパッツであった。といっても芸能学校ではダンスの他にも、フットサルやバスケットボールなどのスポーツで体を鍛えている。 ダンスレッスンの授業が終わると、比美歌はスポーツTシャツとスパッツから普段着に着替えて自分のクラスへと向かう。廊下を歩いていると、演技指導室から俳優クラスの生徒たちがゾロゾロ出てくるのを目にした。俳優クラスの生徒は美男美女が多く、比美歌はその中にいる一人の男子に目が行く。 その男子は一八〇センチ近い背丈に褐色のストレートヘア、肌は中間肌でつり上がった目に高めの鼻、細長い唇に逆三角形の顔にボタンダウンシャツとスラックスとニットベストの服装であった。 (へぇー、俳優クラスに凛々しい人がいたんだな) 他の男子はチャラチャラしてたりぼんやりしている印象が強く、比美歌が目にひかれた男子はやたらと格好よく見えた。 昼食時になり、生徒たちは長テーブルと丸椅子がたくさん並ぶ食堂で昼食をとる。中には親御さんに作ってもらった弁当を持ってきて食べる人もおり、この日は父が朝帰りで朝食しか作れなかった比美歌は定食を買って、月見うどんとサラダとメンチカツを食す。 「あ、そこ座っていい?」 比美歌の左隣の空席を見つけた人が比美歌に訊いてきた。 「あ、はい。どうぞ……。あっ」 比美歌は自分の隣に座ってきた人物を目にして、思わず呟く。さっき目にした俳優クラスの男子で、みそ汁と白米ご飯とサラダのついた塩焼き魚定食のトレーを持ってきたのだ。 「ありがと。これでようやく食べれるよ、ええと……」 「宇多川比美歌です。歌手コース高一の……」 比美歌はその男子に名乗る。 「宇多川……。ああ、二ヶ月前に編入してきたっていう。ぼくは俳優コース高二の滝口修悟(たきぐち・しゅうご)。今はまだ脇役だけど、いずれはレギュラーを目指しているんだ」 「はぁ、レギュラー……ですか。具体的にはどんなのを?」 比美歌は滝口くんに尋ねてくると、滝口くんは「ああ」と答える。 「熱血、クール、ワイルド、ナルシスト……。何でもこなして見せるさ。フッ」 (うわー、自信過剰ってやつだ。顔やスタイルはいいのに) 比美歌は滝口くんの野心を聞いて、口には出さなかったが引く。 「宇多川さん、君はスカウトで浄美に来たんだよね? 普通の高校から芸能学校に転校してきたのは、いきなりすぎて戸惑ったんじゃないか?」 「はい。でも、わたしは亡くなった母が歌が上手くて、わたしも小さい頃から歌を唄うのが多くって……。MOEっていう歌手を目指していたら、文化祭でスカウトされて……」 比美歌は滝口くんに自分の夢を話すと、滝口くんにまた訊いてくる。 「君のお母さんって歌手、もしくは音楽の先生だったの?」 「あ、いえ。普通……の人でして、わたしが生まれる前にタクシー運転手の父と出会って結婚して、小二の時に急病で亡くなって」 比美歌の亡き母は妖精界ミスティシアのマリーノ王国出身の歌妖精セイレーンである。比美歌は半分妖精で、歌が上手いのもそのためであった。 昼食後は歌手コース高一のクラスに戻って、午後の授業を受けて五時間目で本日の授業は終わりとなり、生徒たちは先生の許可をもらって空き教室で歌や演技の練習をしたり、また芸能の仕事がある人はそのまま現場へ直行する。芸能学校では生徒たちが雑巾がけをしたりするのではなく、清掃作業員が部屋を掃除をする仕組みなので、生徒たちは放課後は好きなように活動できるのだ。比美歌の場合は父の帰りに合わせて、歌の練習をするか早く家に帰るかの二つに分かれていた。帰りの電車に乗る頃には夕方の五時を過ぎており、帰宅する他校生やOLなどにまじって毎日を過ごしていた。 一月終わりの日曜日、比美歌は休日の時は中学時代の友人である郁子や安里たち水妖精の英雄仲間と交流していた。この日は私鉄で保波駅の隣にある新保波駅前のショッピングモールに来ていた。真冬の今は学校や職場が休みの人たちは寒さの中を外出するより家で過ごす人の方が多く、外出する人は平日よりも見かけない。だけど商業施設は休日の方が来客が多く、服や本を買いに来た大人やレストランやフードコートで食事する家族が来ていた。 比美歌も朝食後の食器洗いと洗濯物を干してから、安里たちと一緒にフードコートでランチをしていた。 「週末になると、五日分の疲れが一気に出て、九時まで寝ちゃうのよ」 比美歌は鉄板ライス店で買ったビーフペッパーライスを食べながら、安里たちに伝える。 「通学時間が長くなったのと、芸能学校の授業がきつめだからでしょうね。ここに来ても欠伸しまくってたし」 法代が比美歌の生活変化による疲労の原因を諭すと、比美歌と同じ店で買った塩ポークライスをほおばる。 「歌手になる夢が一歩近づいたとはいえ、苦労も大きいということか」 炎寿が赤いスープのタンタンメンをすする。 「比美歌ちゃんは転校したからいいけど、こっちはマラソン大会があって、もうヨレヨレ。総合公園のトラックを三周も走っていたんだから」 郁子がおとといの金曜日に保波高校のマラソン大会の経緯を語る。保波高校をはじめとする日生の公私国立学校では、十二月の終業式前から一月にマラソン大会を行う。体力向上と維持のための行事ではあるが、体力面にも精神面にも負担がかかる。 「比美歌ちゃんの学校でも、運動会やマラソン大会はないの?」 安里が比美歌に尋ねてくると、比美歌は学校で配布された年間行事を思い出す。 「う〜んと、浄美では確か四月に連休前に文化祭があったかな。浄美ってみんな一学年に一クラスで高等部はクラスが複数あっても、少人数だから運動会やマラソン大会はなかったみたいだし」 「え〜、いいな〜。そういうの」 それを聞いて郁子が羨ましがる。その後はモール内のブランドものの服やバッグのウィンドウショッピングを楽しみ、夕方になって寒さが増す前に保波市に戻り、先に法代、次に安里と炎寿、比美歌と郁子が磯貝三丁目で下車して、次の休みに会うことを決めて別れていった。 比美歌が団地内の自分の家に帰宅すると、父が居間でアイロンがけをしていた。 「おう、お帰り。郁子ちゃんたちと遊べたか。今日の夕飯作りは比美歌な」 「うん」 比美歌は夜の六時になると、炊飯器の米を炊いたり野菜の皮をむいたりと調理して、一時間後に出来上がると父と一緒に食べて仏壇の母の遺影にもお米と小皿にブリの照り焼きの切れ端を置いてあげた。 「比美歌が芸能学校に転校して、歌手への道が一つ上がったことを母さんが生きてたらどんなに喜んでいたか」 「お父さん、それ三度目。確かに遠くの町にあって、歌の練習も時折きつく感じることもあるけど、どんなタレントも歌手も下積みがあったからこそ、今があるんだよ」 「確かに、な。皿洗いの他に風呂の湯張りも頼むよ。父さんが先に入るから」 夕食の後、比美歌は食器を洗い、浴槽を洗って湯張りをする。夜の九時になると日曜ゴールデンドラマの放送が始まった。今年の一月から三月まで放送される『ハードからの逆転』は人気男優、岡田裕介が主人公を務め、更に比美歌が尊敬している歌手、MOEが主題歌を唄っているのだ。今回は三話目で、主人公の父親の愛人が主人公兄妹の異母弟を連れてきたところから始まる。 比美歌は本当はドラマの内容には興味も関心もなく、芸能学校のクラスメイトからMOEが歌を担当していると聞いて、視聴するようになった。ドラマが三分の二を突破したところで、ある映像に芸能学校の俳優の人がいたのを目にする。その場面は主人公の妹が通う高校の校舎内で、モブ生徒の中に滝口くんがいたのだ。 「あっ、滝口先輩……。このドラマに出ていたんだ……」 本編も終わり、MOEが唄うハードロック調の主題歌が流れ出す。ドラマも見終えて、入浴して寝ようとする前にニュースを一目見た時、愛知県のある資産家の家で主人のコレクションの古代トンボの琥珀が盗まれたという報道が流された。映像には屋敷のサンルームが壊され、盗まれた古代トンボの琥珀の写真も映し出された。 「これってもしかして……」 珍しい動植物や化石や鉱物を狙う組織、マサカ=ハサラの仕業だと、比美歌は感づいた。 日本の上空数千メートルを飛行しているマサカ=ハサラの本拠点の飛行要塞の中にある長(カリフ)の間では、長が巨大モニターの地図レーダーで幹部と部下たちが愛知県の資産家から奪ったメガネウラ入りの琥珀が手元に来るのを待っていた。モニターには日本地図と部下たちの現在地を示す赤い点が表示されていた。部下の現在地は神奈川県の中心を映していたが……。 翌日は学校で、比美歌はいつものように浄美アートアカデミーで学問やレッスンを受けていると、比美歌たち歌手高一はグランドピアノのある歌唱レッスン室で、歌の先生が演奏するピアノに合わせて歌の練習をしていると、周囲がカタカタ……と揺れだして、生徒たちがざわついた。 「やだっ、地震!?」 「うぉい、マジかよ!」 日本で大地震が十年前に起きたのもあっただろうか、狼狽えていると先生が止めた。 「みんな、落ち着いて。避難経路に沿って建物を出るのよ」 各教室にいた生徒たちは転んだりぶつかったりしないように、先生の指示に従って建物の外に出る。しかし外に出てみると震動が止まっていたので、誰もが不思議がっていた。 「あれ? どうなってるんだ?」 「一体何だったのかな?」 みんなは首をかしげていたが、比美歌は気づいていたのだった。マサカ=ハサラが地中を移動していて、学校の上を通り過ぎて行ったのを。 (だとしたら、まだ遠くへ行ってはないはずよ) 幸いこの日は地震のため早退になり、比美歌も駅へ向かう途中、人気(ひとけ)のない場所で変身をして、白い翼に白い装束のセイレーンに姿を変えて、空を飛んで北の方へ向かっていく。 (マサカ=ハサラは無人区へ向かっていくだろう。あそこなら、可能性が高いわ) そう考えて、ビルや店や家の並ぶ街の上空を進み、家が少なくなると林の中に入っていった。林の中はカシやシイなどの木が自生する雑木林で、冬の今は木の枝だけで乾いた土と石ころだらけであった。比美歌が辺りを見回していると、ボコッという音がして、北西の方へと向かっていった。 一分もしないうちに見つかり、林の中の大きな灰色の石のある空地にマサカ=ハサラがおり、その周りには掘り返した土の山、赤茶色のオケラ型のメカ、そして老人と同じ顔に背丈の小男が二人いた。マサカ=ハサラの幹部、アハザダヤドであった。 「ここでちょいとばかり、一休みするか。しかし、今回の獲物は地中からにしておいて正解じゃったな。メガネウラ入りの琥珀となると、アーキルラースも新しいハマヤーンの実験のために欲しがりそうじゃしな……」 アハザダヤドがぼやいていると、比美歌が飛び出してきた。 「お、お前は!」 アハザダヤドが比美歌を目にして叫んできた。 「やっぱりさっきの地震はあなたたちの仕業だったのね。無人地にくれば、あなたたちは姿を現して、他の仲間を呼び寄せるんじゃないかと察したのよ。それから、メガネウラ入りの琥珀も返してもらうわよ!」 「くっ。これは長への献上品なんだ! ハマヤーンよ、この妖精を倒せ!」 アハザダヤドが叫ぶと、小男の姿が変化して、服とターバンだけでなく、皮膚も裂けて人間と同じ大きさの改造生物ハマヤーンが姿を見せ、ゾウムシとアリのハマヤーンが比美歌に襲い掛かってくる。 比美歌はライトチャームをフルートステッキに変えて、ハマヤーンを先端で突いたり叩いたり相手の攻撃を防ぎ、ハマヤーンも口の先端で比美歌の体を貫こうとしてきて突進してきて、近くの石を掘り上げて比美歌に投げつけたりとしてきた。 「セイレーン=ビューティーサウンド!!」 比美歌は歌声の混じった超音波を出して、アリのハマヤーンが出してきた岩を音波で砕き、ゾウムシのハマヤーンも比美歌の歌声を聞いて怯む。 「ぬうう……」 アハザダヤドも比美歌の声を聞いてよろけ、持っていた包みを落としてしまう。 「今だ、セイレーン=クリアパッション?」 比美歌はフルートステッキの先端をト音記号の形にして描いて、ト音記号から白い光の波動から放たれ、二匹のハマヤーンに浴びせて光が治まると、ハマヤーンは普通のゾウムシとアリになって地面に落ちた。 「ううっ、このままではわしもやばい……」 そう言ってアハザダヤドもオケラメカに乗って、オケラメカは地面を潜って撤退していった。比美歌はアハザダヤドが落としていった包みを拾うと、中には透明な黄色の石に古代トンボ、メガネウラが入った化石であった。 その後、愛知県の資産家の屋敷で、盗まれたメガネウラの琥珀は東京の警察署に置かれていたのを、資産家の元に返された報道がテレビや新聞で流されると、事件は解決した。 比美歌はいつものように浄美アートアカデミーに通い続け、歌手デビューに向けて歌やダンスレッスンの日々を送っていた。 日常では芸能学校と家事、アクアティックファイターとしては三度目の脅威であるマサカ=ハサラとの戦いに明け暮れながらも、比美歌は二つの使命を担っていったのだった。 |
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