安里たちがミスティシアのマリーノ王国の祝賀会から帰ってきてから数日が経っ ていき、安里と炎寿は冬休みの宿題である書初めや漢字と計算のプリントを澄まし ていき、一月七日の始業式から学校生活が始まった。久しぶりに保波高校の制服を まとい、冷たい空気の漂う町中を歩いて保波高校を通るバスに乗って登校する。バ スの中はコートを纏ったサラリーマンや女子大生、アウターは違うけど保波高校の 制服を着た少年少女が多く乗っていた。 「あ、安里ちゃん、炎寿ちゃん。あけましておめでとー」 小柄で丸顔でベージュのショートダッフルを着た女子高生が安里と炎寿にあいさ つする。 「ああ、郁子。久しぶり、おめでとう」 炎寿が郁子を目にしてあいさつする。 「郁子ちゃん、あけましておめでとう」 安里も郁子にあいさつする。 「二人とも、正月はどこに行ってたの? わたしはお正月の四日間は箱根温泉に行 ってたんだ」 「おお、温泉か。羨ましいな。わたしたちは......」 「炎寿」 安里が横から割ってきて炎寿を止めた。 「どうかしたの?」 郁子が気になったので安里と炎寿は無言でコンタクトする。 「わたしと炎寿は、お父さんの上司が開く新年会に御呼ばれを受けたの。わたした ちにとっては、ちょっと退屈だったかも」 安里は本当はミスティシア内のマリーノ王国の祝賀会に参加していて、実両親と 妹の他、マリーノ王国の同級生に会ったことは隠して郁子に伝えたのだった。 「へぇ、そうなんだ」 郁子は安里と炎寿、それから比美歌が妖精であることを知っている純粋な人間で あるが、今は大勢の中なので安里の話を聞いた。 バスは保波高校に着いて、バス通学している保波高校の生徒たちがぞろぞろと降 車し、コンクリートの門と校舎の中に生徒たちが入っていく。 「おはよー」 「久しぶりー」 安里と郁子のクラスの一年四組でも、生徒たちが二週間ぶりに顔を合わせてあい さつし合う。安里はお喋りし合ってたり、机に座って文庫本を読んでいる生徒たち の中にいる切れ長の瞳に長身の男子を見つけて、ドキッとなる。神奈瑞仁だった。 (神奈くん、クリスマスの終業式以来だな......。相変わらず格好いいや) 新年は休日で寝正月食べ正月で正月太りするというが、太って変わった人やそん なに変わっていない人もいれば、神奈くんも安里も変わってはいなかった。 その時、チャイムと体育館で始業式を行う放送が流れ、生徒たちは教室を出て体 育館へ向かっていった。安里も体育館へ向かって廊下を歩いていると、神奈くんが 横切って安里を見たのだった。 「真魚瀬、久しぶり」 安里は神奈くんに話しかけられて、思わず歩みを止めそうになったが、気を落ち 着かせて返事をした。 「あ、神奈くん。久しぶり......」 神奈くんに話しかけられて安里は心が温かくなるのを感じた。マリーノ王国での 祝賀会の出来事なんか忘れるくらいに。 始業式も終わり、生徒たちは自転車や徒歩、駅行きのバスに乗って帰る頃、安里 はのどが渇いたために購買部近くの自販機で紙パックのジュースを飲んでのどを潤 した。冬は空気が乾燥するため、喉の渇きも人間より多い人魚である安里は二時間 おきの淫水が必要だった。グレープフルーツジュースを飲み干すと、自販機そばの 金属製のゴミ箱に入れて、教室に帰ろうとすると、教室の出入口の前には神奈くん が立っていたのだ。 「かっ、神奈くん!」 安里は神奈くんがいたので思わず声を出してしまい、神奈くんは安里を目にして 声をかけてくる。 「ああ、真魚瀬。丁度良かった。九ヶ月も経つけど、お前の誕生日っていつよ?」 「え......」 思ってもいなかった質問に安里は沈黙するも返事をする。 「一月十二日よ」 安里の人間界の誕生日はマリーノ王国の暦と人間界の暦と重ねると、一致する日 が誕生日となっていた。 「えっ、五日後なのか!? こんなことになるんなら、先月の水族館にもっと早く訊 いておくんだった。まぁ、いいや。ありがとよ、じゃあな!」 そう言って神奈くんは昇降口へ向かっていった。安里は神奈くんが自分の誕生日 を聞いてくれたことは、これから正の可能性になると信じた。 その後は、家へ帰って安里はご満悦になり、午後は比美歌と法代と炎寿と共にビ ル街の中にあるティールームでひと時を過ごした。ティールームは灰色の室内に黒 鉄色の照明、白いテーブルと椅子の店内で、安里たち四人の他には家事の合間に来 た主婦、買い物帰りの女子大生たち、おじいさんが来ていた。店内にはジャズ調の BGMが流れていた。 「安里さんって、今月の十二日が誕生日なんだぁ」 甘酸っぱいアップルティーをすすりながら、法代が言った。 「そういや、安里ちゃんが日本に来てから、もう一年になるんだよね」 比美歌がセイロンティーの中にラズベリージャムをかき回しながら聞いてきた。 「うん。もう一年になるんだな、って......」 安里の台詞を聞いて炎寿が黙る。かつて海賊だった頃、マリーノ王国を占領した ために安里は両親も女王も囚われてしまい、人間界に逃げる羽目になったことを。 だが、この運命のおかげで炎寿は安里たちと共にいられることになったのだから。 「安里ちゃん、誕生日はお父さんに頼んでもらって、安里ちゃんと待ち合わせても いいよね? プレゼントを渡したいし」 比美歌が尋ねてくると、安里は礼を言う。 「うん。ありがとー」 (マリーノ王国と違って、人間界は仲間と呼べる子がいるから心地いいな) 一瞬スエーテたちの顔を思い浮かべてしまったものの、安里は自分の誕生日を祝 ってくれることを考えた。 日本上空一万メートルを飛ぶマサカ=ハサラの本拠点の飛行要塞。〈長(カリフ) の間〉では、長が大画面モニターに映る珍しい生物や鉱物の情報の映像を眺めてい た。 「これはいいな。これこそ余のコレクションに相応しい」 長は映像を目に通した後、手元の金色の延べ棒のようなリモコンを操作すると、 画面に部下の女性が映し出された。 『何のご用件でしょうか』 長に呼ばれた女幹部はエンジ色に白縁の腹部の出たトップスと生成り色のゆった りパンツの上から学者が着るような白衣をまとい、長い髪を後ろで高く結いまと め、浅黒い肌に鋭角な眼と高い鼻と細い口唇に三角形の顔のきつめの美人だった。 「アーキルラース。高知県のN山神社に保護されているオナガドリを余のコレクシ ョンにする。お前の生み出すハマヤーンを送りだせ」 長の命を受けたアーキルラースは頭を軽く下げてかしこまる。 『御意』 ここで通信が切れて、画面はある密林の映像に変わる。長の命を受けたアーキル ラースは自身の実験室に入り、実験室の金属台の上に置かれている四角い鳥籠の中 にいるスズメを一羽取り出して、スズメはピーピーもがきながらも、アーキルラー スが持つ注射器の薄紅色の薬液を注入されて、声が小さくなって気を失った。 「さぁ、お前はどんな姿になるのかしらね」 アーキルラースはにやりと笑ってスズメに言った。 一月十二日、人間界の安里の誕生日。五時間目の授業後の休み時間の廊下で、安 里は郁子と炎寿からプレゼントを受け取った。 「安里ちゃん、お誕生日おめでとう」 「おめでとう」 安里は二人からプレゼントを受け取ると、喜んで礼を言った。 「二人ともありがとうね。あと、学校が終わったら比美歌ちゃんと法代ちゃんと保 波駅で合流するって決めたんだ」 比美歌と法代は学校が違うため、そこでプレゼントを受け取る約束をしあったの だった。 「ああ、そうなのか。おっと、わたしのクラスでは六時間目は理科室で授業だった のを思い出した。じゃあ、帰りに落ち合おうな」 「うん」 炎寿は一年五組の教室に戻り、郁子と一緒に教室に入ろうとしたところ、安里は のどの渇きをおぼえて、水を飲んでから教室に戻ろうと、校舎の外の手洗い場へ行 った。 この日の空は厚い雲で覆われていたが、雨や雪の降る心配はなさそうだった。空 気は晴れの日よりも冷たく水道の蛇口をひねると、とても冷たい水が出てきたが安 里は構わず飲んだ。 「ふーう、これで帰りまでは持つかな」 教室に戻ろうと校舎の中に入ると、廊下では神奈くんが両手を後ろに回して立っ ていたのだ。 「かっ、神奈くん! どうして......」 安里は思わず転びそうになったが、両足の裏を使って踏みとどまった。 「どうしてって......、今日真魚瀬の誕生日だろ? 誰も見ていないとこで渡した 方がいいかなー、って......」 神奈くんは照れながらはっきり言うと、後ろに回していた右手を出して、安里に プレゼントを渡した。それは手に入るほどの正方形の平たい箱にピンクのバラの包 装紙に赤いリボンで結ばれていた。 「誕生日、おめでとう」 安里は初めて男の子からのプレゼントを目にして驚くも、自分が好いている男子 が暮れたとなると、震える手でプレゼントを受け取った。 「あ、あとがとう......。神奈くん......」 安里は神奈くんからのプレゼントを受け取ると、思わず目が潤んでしまい泣きそ うになった。 「そ、それじゃあな」 神奈くんは教室に踵を返すと、安里は両手で神奈くんのプレゼントを両手で抱え て教室に入りプレゼントをバッグの中に入れた後に授業のチャイムが鳴りだした。 学校が終わると安里と郁子と炎寿は保波駅で比美歌と法代と落ち合うために保波 駅行きのバスに乗り、ラッシュ時近くとはいえ多くの人たちが行き交る駅にやって きたのだった。 「おーい、安里ちゃん」 比美歌がホームから出てきて安里たちの前に現れ、法代も自転車に乗ってきたの だった。制服姿の安里たちに対し比美歌と法代は私服だが、服装も年齢も体格も違 う人たちの集まる駅前ではそんなのは関係なかった。 「安里ちゃん、お誕生日おめでとう。はい、これはわたしから」 そう言って比美歌は安里に細長い小箱を渡した。 「わたしはこれを。ちょっとオーソドックスだったかも」 法代は安里に花束を差し出した白い花びらのカモミールとピンクのポピーの花束 だった。 「わぁ、二人ともありがとう。嬉しいよ」 安里は比美歌と法代に礼を言った。マリーノ王国にいた時は同い年の妖精からプ レゼントをもらったことがないのだから。 その後はバスに乗って帰宅し、マンションの自分の部屋に入ると、みんなからの プレゼントを開封した。郁子は手製らしくフェルトで出来たテディベアのマスコッ ト。炎寿はフローラルの紙せっけんと高めのあぶら取り紙。比美歌はマニキュアで ラベンダーとグリッター入りのパールホワイトとクリアピンク。 最後に神奈くんからもらったプレゼントのリボンをほどき包装紙をはがして、真 っ白な紙の箱を開けた。 「わぁっ。これって......」 黒いベルベットのリボンに金色の留め具、正方形にカットされたアメジストの付 いたチョーカーだった。どのプレゼントも良かったけれど、安里は神奈くんのチョ ーカーを握りしめた。 安里が自室でプレゼントを調べて大事にしまって制服から普段着の紫のスウェッ トとジーンズに着替えると、居間のテレビからニュースの音声が流れていた。居間 には普段着の赤いエスニック柄のパーカーに黒いパンツ姿の炎寿とブリーゼが畳に 座ってみていた。 『次のニュースです。本日、高知県N山神社で天然記念物として保護されているオ ナガドリが一羽、盗まれたという事件です』 テレビ画面には女性キャスターから現場の中の神社に映し出される。神社の中は 境内と小さな鳥居の他、オナガドリを入れていた鳥小屋もあり、鳥小屋は金網はそ のままだったが屋根と板壁が無造作に壊されていた。 『一瞬目を離してたら、大きなスズメがオナガドリを嘴でくわえて飛んでいったん ですよ。そのスズメが五、六メートル位はありましたね......』 目撃者である若い神社の巫師がレポーターにインタビューしているのを目にし て、テレビを目にしていたブリーゼと炎寿、たまたま目にした安里はオナガドリ泥 棒はマサカ=ハサラの仕業だと顔を見合わせた。 「巨大スズメ......。最初の時と水族館の時もそうだったわ」 「マサカ=ハサラがハマヤーンを造りだす時って、ドレッドハデスが不思議生物を 妖精に変えるのと似ているようだな」 安里が巨大スズメが以前の二つの出来事と同様だと察し、炎寿が自分がかつてい た組織の怪物シデーモとハマヤーンは似て非なると述べた。 「だけど、マサカ=ハサラは妖精や不思議生物や付喪神と違って、気を感じ取れな いのでしょう。となると、その時に居合わせるしかないのですよね」 ブリーゼが安里と炎寿に言った。 「世界各地の珍しい動植物や鉱石、はたまた妖精までもコレクションし、ハマヤー ンという怪獣を送り出す......。マサカ=ハサラって何の種族なんだろうか? 普 通の人間にしてはタチが悪すぎるし」 炎寿はマサカ=ハサラの正体を考える。平均よりも強い人間なのか、それとも全 く別の生命か、安里はいずれにしろマサカ=ハサラに気をつけるようにした。 安里の誕生日から数日後の土曜日。法代は母からのお使いで自転車に乗って、花 の配達に回っていた。自転車の後部に配達の花束を段ボール箱に入れて乗せて町中 を走り回っていた。法代はミントグリーンのダウンジャンパーを羽織り、イヤーマ フとマフラーと手袋も身に着けて自転車をこいでいた。 道路は自動車が走っているが住宅街なので速度を落としており、住宅の前では小 学生の子が縄跳びや庭でカスタムゴマなどのおもちゃで遊んでいる様子が見られ た。 「こんにちはー。フラワーハウスNEYAです。ご注文のお品をお届けに参りまし た」 法代は配達先の家に花を届けると、家の主人から「ご苦労様」とお礼を受け取り、 配達の花の代金は自分の財布とは別の小銭入れに入れていた。 「やっと全部配り終えた。随分と遠くまで来ちゃったな。お昼ご飯に間に合うとい いな」 法代は自分の家に帰ろうとすると、家とは反対の空に一羽の大きな鳥が飛んでい るのを目にした。てっきりタカかと思っていたが、蹴爪と嘴も異なることから別の 鳥だと気づいた。しかもスズメの足にはオナガドリが捕らえられており、それが安 里の誕生日の夕方のニュースに報道されたオナガドリ泥棒だとわかった。 「もしかして、マサカ=ハサラ!?」 そう思った法代は巨大スズメの飛ぶ方角へ自転車をこぎ、町中のビルの一番高い 十階建てビルの非常階段から中に入っていって、屋上に入る前にライトチャームで 変身すると、扉を強く打ち破って広々とした屋上に入っていたのだった。 ビルは十階建てとはいえビル風が強く吹き、法代は巨大スズメが飛んでくるのを 目にすると、右手を天にかがげて、エメラルド色の光の波動、ウィーディッシュ= エナジーウェーブを放った。 灰色がかった青空に細長いエメラルド色の光線が巨大スズメに当たり、巨大スズ メの左肩に光線による浅い傷が入り、巨大スズメはよろよろとなり思わず二羽の獲 物を離してしまった。 「コケーッ、コココ!」 二羽のオナガドリが翼を羽ばたかせながら落下していく中、法代が大ジャンプを してオナガドリをキャッチしてビルの屋上に着地し、同じく巨大スズメも持ち直し てビルの屋上に着地する。 「コルルルル......」 巨大スズメは法代を目にすると、再び羽ばたいて強い風を起こして攻撃してき た。法代はエメラルド色の光の壁、ウィーディッシュ=エナジーバリアを出して、 攻撃を防ぎ、オナガドリを守った。続いてスズメは自分の嘴を法代に向けて突進し てきたが法代は危うくスライディングして、巨大スズメの攻撃を避けた。 「あつつつつ......」 あまりやたないスライディングをしたためか法代の背中が痛んだ。 (シュピーシェルを出して仲間を呼ぼうか? いや、それじゃあ間に合わないし、 だからといってわたし一人で勝つ見込みなんてない。だけど......) 法代はマサカ=ハサラにさらわれた二羽のオナガドリを目にして、また自分が持っ ているクーレーの指輪を見て思った。クーレーの指輪は普段の時は法代が小型の巾 着に入れて持ち歩いているが、変身時には法代の右中指にはまっていた。 (コレクションするために動物たちをさらい、自由も奪っているマサカ=ハサラは 赦してはいけない。クーレーだってお父さんに会いたがっているというの に......!) その時だった。法代の首元のライトチャームが激しいエメラルド色の光を発し、 ライトチャームが違う形に変形していく。 法代の手には薄緑色の柄に先端が矢尻型の突起の武器――フレイルが収まってい たのだ。 「ようやく持てたんだ......」 法代は自分の武器が手に入ると、巨大スズメに立ち向かっていく。巨大スズメは 再び強風を起こすが、法代はフレイルを振るって巨大スズメの胸にフレイルの先端 を飛ばして防いだ。巨大スズメは法代攻撃を邪魔されると、嘴を向けて突進してき た。法代はフレイルを伸ばして更に海藻型エネルギーの綱、ウィーディッシュ=エ ナジーバインドを出して、巨大スズメの動きを封じた。巨大スズメは拘束される と、ビルの屋上に滑り転がる。 そして法代が武器を使った技の詠唱を放つ。 「悪に変わりし生命よ、癒しの波動で邪を清め払う。 ウィーディッシュ=カタルシスオーラ!!」 するとフレイルが激光を放ち、フレイルの海藻の鎖に縛られた巨大スズメは体が 縮んでいき、一羽の普通のスズメに戻って飛んでいったのだった。 「もしかして元に戻ってったの?」 自分の持つ新しい技はハマヤーンに変えられた生き物を元に戻すことが出来ると 法代は覚った。 「あ、そうだ」 法代は二羽のオナガドリを目にして、ジュニア用の携帯電話を取り出すと、警察 に連絡した。 「もしもし、高知県で盗まれたオナガドリを発見しました。場所は千葉県......」 法代は警察に通報すると、後は急いでビルから出て非常階段を降りながら変身を 解除して普段の姿に戻った。 『へー、法代ちゃんも武器発動が出来るようになったんだ』 ハマヤーンを元のスズメに戻し、高知県から盗まれたオナガドリを助けてあげた 法代は自宅の私室で、シュピーシェルを使って安里に報告した。貝殻の上部分に安 里の顔が立体的に映し出されていた。 「ええ、本当に。オナガドリも警察に保護されたし」 夕方のニュースで高知県の盗まれたオナガドリが千葉県の警察によって保護され たのを知って、法代は安堵した。 「あとはクーレーをマサカ=ハサラから救い出して、お父さんと会わせること を......」 法代はクーレーの指輪の宝石が輝いているのを目にして言った。 マサカ=ハサラは次は何を狙うかわからない。だけど、法代はクーレーと父親を 会わせてあげることを考えていたのであった。 |
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