7弾・4話 惑星ヴィントル


 ワンダリングスが創造神ソルトゥーを発見してから一二〇時間後が経過した頃、ウィッシューター号はピー星域座標〇八六にある惑星ヴィントルに到着した。

 惑星ヴィントルは厚い雲に覆われていて海にあたる部分は青紫で、地表は岩場や陸地は茶色、森林は緑で表されていた。

 リブサーナが予知した高山の集落は東端にある地域、フィーザ族のものだというビジョンが出て、ウィッシューター号はフィーザ族集落より数キロ離れた平原に停泊させて、創造神に選ばれたリブサーナ、ドリッド、それからアジェンナとブリックとピリンが向かうことになった。

 フィーザ族集落の周辺は灰色の岩と赤茶色の土、地面には草や草花が所々生え、二色の線の鱗粉の蝶や二枚翅のトンボなどの虫、緑色の角付きトカゲなどの小動物が棲息しており、空は紫色で厚い雲がいくつもあり、風も強くなったり弱くなったりと変化したり、また寒さもあるので外套を着て集落に向かうことにした。幸い集落は山の中腹にあるので、道のりはそんなにきつくはなかった。

「惑星情報の詳細によれば、フィーザ族は天空神に対する信仰が強くて、他の部族と関わることが少ない。だけど土地は狭く、作られる作物も限りがあるため、一日に数人が地上に降りてきて野生獣を狩ったり魚を獲ったり野生の果物やキノコや葉菜を採ることで暮らしをまかなっていることだ」

 ブリックがウィントル星に来る前に調べた情報をリブサーナたちに教える。

「平地で暮らした方がよっぽどましな生活なのになぁ......」

 リブサーナがフィーザ族の生活を耳にして言った。農業惑星ホジョの森と川に囲まれて生まれ育ったリブサーナはどんな土地に田畑を造ればいいかの知識がある。

「でも天空神に対する信仰が強いんでしょ? どんなに不便でも、自分の信じる神様のいる場所なんて捨てることができない人たちなのよ」

 アジェンナがリブサーナに言った。

「で、フィーザ族の信じている神が創造神と関係しているかどうか確かめるのが今回の俺たちのやることだからな」

 そう言ってドリッドは右手首のブレスレットにはめ込まれたソルトゥーの魂の結晶を目にした。

「それにしても、じかんかかるぉ」

 ピリンが一番後ろを歩いて呻る。メンバーの中で一番体の小さいピリンにとって、山道歩きはきつかった。

「辛いか? 俺がおぶってやろうか」

 ドリッドが振り向いてピリンに尋ねてきた。有機合成人間(レプリカント)であるブリック以外は有機生命体であるため、山道が高くなればなる程、空気が薄くなって息を吐く回数が多くなるのを実感していた。幸い山道はゆるやかな地面だったので、足をかけたり手を岩壁にあてたりながら進まなくて済んだ。

 時が経つにつれ、風が強くなり気温も下がっていき、五人が山道を歩いて中腹に足を踏み入れた時、リブサーナたちはフィーザ族の集落に目を見張った。

 フィーザ族は白い肌の人間(ヒューマン)型異星人(エイリアン)で男も女も子供も老人も丈長の衣に帯を巻いて長靴に色付きの房の付いた台形型の帽子をかぶり、リブサーナたちが歩いてきた山道以外の道を人歩で登り下りしていたり、また耳長首長長脚の蹄獣の家畜を連れて背中に薪やかごに入れた食用野草を乗せており、また猛禽類を思わせる鳥を手なづけている様子が目に入った。家屋は屋根付きの円筒形の物が民家で三角屋根に四角い物が家畜小屋として使われていた。

「ここにいる人たちは鳥を手なづけているようね。あの鳥なんか、かごを持って主人にパンを渡しているじゃない」

 アジェンナが一羽の鳥が主人らしき住人にパンの入ったかごを渡しているのを皆に伝える。

「ここに来る前に得た情報によれば、フィーザ族は中型や大型の鳥を手なづけて荷物の運搬や郵便、食糧の配達を行(おこな)っているようだ」

「ふぅん、船便や航空便みたく、鳥便(とりびん)ってことか」

 リブサーナがブリックの話を聞いて頷く。その時、バサバサという羽音がしてリブサーナが顔を上に向けると、リブサーナの右肩に一羽の灰色の羽毛に赤茶色の嘴と蹴爪に暗い緑の翼の鳥が当たった。

「わっと!」

 リブサーナは鳥が当たったことに驚いてよろめくが、ブリックに押しとめられた。

「ああ〜っ、すみませ〜ん」

 リブサーナたちの前に三人の少年と一人の少女が現地の言葉で話しかけてきて駆け寄る。リブサーナたちはヴィントル星のフィーザ族領地に来る前にヴィントル星の言葉を学習してきたので、フィーザ族の方言も習得していた。ただフィーザ族の言葉は初めが高いので「す」が高く聞こえた。

「あれ? 見慣れない人たちだな。あんたたち観光客か?」

 一番体の大きい少年が五人に話しかけてきた。

「え? ああ......。この子、空に飛ばそうとしていたの?」

 リブサーナが鳥を両手で包むように抱いて、少年たちに尋ねてくる。

「その子、僕のです」

 一番小柄な少年がリブサーナに声をかけてきた。

「スラートは鳥使いを始めてから、まだ一ヶ月ですからね」

 細身に長身の少年が言った。

「鳥使い?」

「お姉さんたち、観光客だから知らなくて当然だけれど、この村では十歳になったら鳥を操る修業があるんだぜ。成人の十八になる頃には大型の鳥を操れば一人前だ」

 巨体の少年がリブサーナに説明をする。

「お前たち、鳥の訓練を何放っている」

 少年たちの来た場所から同じ所にいた老人が歩いてやって来た。老人はリブサーナより、四、五センチ低いが背筋は良い方で、長いひげをたくわえ右手に杖を持ち、房付きの台形型の帽子に深緋色の衣をまとっていた。

「あっ、おじいちゃん」

 女の子が老人に言った。女の子の方は長い褐色の髪を後ろで一つの三つ編みにして薄紅色の衣を纏っていた。

「わしはこの村の長老、デルパといいます。こちらは孫娘のミラといって今十歳。あなたたちは何者で?」

 デルパ老人はリブサーナたちを目にして尋ねてきた。

「あの、我々は宇宙連合軍の雇われ兵団、ワンダリングスといいまして、あるものを探しに来たのですが......」

 ブリックはデルパ老人にもわかるようにヴィントル星の言葉で話し、何故ここに来たのかデルパ老人に話す。

「創造神? テーラ星の魔神? そんなことが星の外で起きているとは......」

 デルパ老人はそれを聞いて片手で頭を抱える。

「このリブサーナが最初に甦った創造神から授かりし能力で、三番目の創造神のいる場所を予知してヴィントル星のフィーザ族の村に来たのですが......」

 ブリックはデルパ長老にリブサーナを紹介すると、リブサーナは自分の髪の後ろを留めているバレッタを外してデルパ老人にフリーネスの魂の結晶を見せた。

「こ、これが創造神の魂の結晶......」

 一緒にいたミラとスラートたちも魂の結晶を目にして、その魅力に取りつかれる。

「しかし、皆様。ここではナンですから、私の家でゆっくり話しましょう......」

 デルパ老人はリブサーナたちを自分の家に呼び寄せて、ミラには友達と一緒に鳥使いの訓練をするように促した。

 デルパ長老の家は集落の真北にあり、二階建ての円筒形の母屋に一階建ての離れが左右にあり、更に家畜小屋には蹄獣が六頭いる獣舎、大型の鳥の鳥小屋、そして訓練用の小鳥の小屋があった。長老の家以外でも壁や屋根は漆喰や粘土を固めて焼いたレンガの物ばかりで、風に強い場所で暮らす民族の特有であった。

 リブサーナたちはデルパ長老の家にお邪魔し、集落の周辺に創造神に関する話かどうか聞くことになった。居間は一階の中心にあって、壁にはレンガでつくった棚や壁付け台があった。テーブルや椅子は細く角切りにした木材をヤニでくっつけて作った物で、木肌の色が異なるため工芸品のように思えた。

 リブサーナたちは椅子に座るが、椅子は五脚しかないためドリッドだけ床に膝を立てて座った。幸い床は草の繊維のマットが敷かれていたので、尻を痛めなかった。

 デルパ長老は上座に座り、台所から長身に褐色の髪を後ろで結わえて濃い黄色の衣の女性が木の盆を持ってデルパ長老とリブサーナたちに茶の入った器と白い半液状の食べ物の入った器を差し出す。

「孫のファナでミラの姉です」

 女性はリブサーナたちに軽く会釈し、リブサーナとピリンも「あ、どうも......」と軽く頭を下げる。茶は透明な赤褐色で砂糖は入ってはいないが香ばしく、白い半液状の食べ物は酸味と砂糖の甘さが入っていた。

「あっ、これヨーグルトだ」

 リブサーナが白い食べ物を口にして言った。ドリッドやアジェンナとブリックも口にする。

「わしらの地域ではシアーサといって、フィーザ族の主食の一つです。家畜にしているホーバオの乳を発酵させた物ですじゃ」

 デルパ老人は食べ物の説明をリブサーナたちに施す。

「さて、デルパさん。おもてなしも受けたことだし、あなたの住む地にまつわる天空神のことを教えてもらえませんでしょうか......」

 ブリックがもてなしを受けた後にデルパ長老に尋ねてくる。

「うむ。そうでしたな......」

 デルパ長老は咳払いをする。

「はい。今から数万年前も昔、人間たちが誕生した頃、人間たちは知能は低く、鳥や獣捕まえては食べ生きていきました。そうしていることで、人間と他の生物の存在バランスが崩れていき、人間たちは次第に飢えに悩まされいきました。

 そんな時、厚い雲が二つに分かれて、神々しい光が降り注ぐと同時に強い風が吹いてきて、人間たちに生きるための知恵と知識を与えて下さったのです。

 人間たちはまず道具を作り、使うことを覚えていき次に大地を耕して田畑を作って麦や米などの作物を育てることを覚え、鳥や獣を捕まえたらすぐには食べず家畜にして増やしてから食べることを覚えていきました。

 それから文字の読み書きや数字などの知恵をつけていき、今の人間たちがいるのは天からの『知恵の風』のおかげだという伝説がヴィントル星各地にありますじゃ」

 デルパ長老の話を聞いて、ブリックが唸ってから呟く。

「ふーむ、『知恵の風』か......。確かに創造神と関係がありそうだな」

「でも、ここにしょーじょーしんのたましーのけっしょーがありゅってこんきょは?」

 ピリンがデルパ長老に尋ねようとした時、リブサーナが体をしならせて一度意識を失うとすぐに起きて返事をする。

「風の創造神の魂の結晶はこの地にあります」

 リブサーナが先程とは違った口調と声を発してきたのだ。

「ふ、フリーネス!! あんた創造神とはいえ、また何の前触れもなく現れるなんて......」

 アジェンナが創造神フリーネスがリブサーナの体を借りて出現したことに驚いて突っ込みを入れてきた。

「創造神......!? あ、あなたがですか?」

 デルパ長老がフリーネスの出現を目にして仰天するも、恭しく態度をとる。

「私にはわかるのです。この地には風と知略を司るウィーネラが眠っていることを」

 フリーネスが三番目の創造神の名前を言ってきたので、アジェンナたちも聞き逃しはしなかった。

「ウィーネラの魂の結晶はフィーザ族の領内にありますから、後は私とワンダリングスで探しますから」

「はい。創造神さま」

 デルパ老人はフリーネスからの言葉を聞くと、フリーネスは体をリブサーナに返し、フリーネスによって眠っていたリブサーナの意識が目覚める。

「あれ、わたしどうしてたの?」

「フリーネスから三番目の創造神がフィーザ族の地にいるってさ。細かいことは手に入らなかったけれど」

 アジェンナがリブサーナに言った。

 ヴィントル星は夜になるのが早く、リブサーナたちはフィーザ族の村を離れて、ウィッシューター号に戻ってグランタス艦長とヒートリーグに今日の出来事を報告した。

「そうか。『知恵の風』とは創造神からの恩恵であったか......」

 ウィッシューター号の司令室でフィーザ族の長老とフリーネスから入手した情報を聞いて、グランタス艦長はうなずいた。

「三番目の創造神の魂の結晶がその村のどこにあるかまではわからなかったんでしょ? 何だかいい加減だなぁ」

 ヒートリーグが首をかしげる。

「とはいえ、ヴィントル星では夜が早く来るのは仕方のないこと。明日早く起きて、またフィーザ族の村に行くぞ」

 ブリックが他の面々に言った。

 その後はワンダリングスの艦員(クルー)は夕食を採って入浴後に間もなく寝入った。ヴィントル星は一日が十六時間で明るいのは六時間だけという天象であり、ワンダリングスも早くに寝て夜明け近く前に行動することになったのだった。

 誰もが個室で眠っていると、アジェンナの夢の中に彼女を呼ぶ声が響いてきたのだった。

「誰か私を......この暗い中から......見つけ出して......」

 高い女の声で、暗がりの中にいるのかそう言っていたのだ。

「あなたは誰なの? 私を呼んでいるの?」

 アジェンナは声の主に尋ねるが、そこでアジェンナは目が覚めて、薄暗い自分の部屋の中にいるのを悟っただけだった。

(夢? それにしても随分と奇妙な......)

 そう思ってアジェンナはロフトに設置された寝床から出て、クローゼットの前でワンピース型の寝着から紫の厚手のトップスとインナーと灰色のアーミーパンツを出して髪をとかして軍靴を身に付けた。

 食堂に入ると、みんな席に着いて朝食のゆで卵やベーコンなどの精のつく朝食を食べていたのだ。

「おはよう、アジェンナ。昨日と同じ面子でフィーザ族の村に行くぞ」

 ブリックがアジェンナに言うと、彼女は軽くうなずいた。

「ああ、わかった......」

 朝食を終え、水筒や携帯端末などの必需品を持ち、また朝方で冷えるので外套を纏ってウィッシューター号からフィーザ族の村へ向かっていった。

「ううっ、寒い!!」

 アジェンナはかすかに暗く肌寒い外の空気に触れると身震いした。

「これで全員そろったな。じゃ、行くぞ」

 ドリッドがグランタス艦長とヒートリーグ以外は全員そろっていることを確かめると、フィーザ族の村へ向かっていった。

 一同がフィーザ族の村のある山へ来ると、集落のある中腹から一羽の小鳥が飛んできたのを目にしたのだった。その鳥はリブサーナたちを目にすると、向かって舞い降りたのだった。

「何、この鳥? あっ、この鳥はデルパさんの家にいた訓練用の......」

 リブサーナは鳥を目にして叫んだ。嘴と蹴爪と羽毛の色が昨日目にしたうちの一羽と同じ色だったからだ。その鳥は嘴と蹴爪はオレンジ色で灰色の羽毛の中に所々白い羽毛が混じっていた。更に左足首に何かが巻かれている。アジェンナがその鳥を傷つけないように捕まえると、足首の物を取り外した。それは粗い繊維の紙で、フィーザ族の文字と言葉で書かれていた。フィーザ族の文字は細い記号のようであった。

「私なら読めるぞ。ワンダリングスの皆さん、村が襲われました。助けて下さい。ファナ。

 村で大変なことが起きているというが、急いでいくぞ!!」

 ブリックが鳥に巻かれていた紙を読むと、他の面々に村の危機に駆けつけることを促した。

「何をする! やめてくれーっ!!」

 フィーザ族の一般民の男が自分の家を壊す輩に向かって叫んだが、相手は聞く耳を持たず、建物に孔を空けていた。どこの家や家畜小屋でも、凶暴な鳥や狼などの猛獣が襲いかかってきて、鳥たちは空へ逃げ出し、ホーバオや犬や猫たちが鳴き声を上げて怯えていた。

「うわっ、何だこれは!?」

 ワンダリングスがフィーザ族の村に駆けつけてきた時、ドリッドが目の当たりの状況を目にして叫ぶ。どこの家でも獰猛な獣たちが建物を壊し、鳥たちは空へ逃げ、動物たちは震えていたり吠えていたり、人々は安全な場所へ逃げたりうずくまっていたりしていた。

「まずはあのどーぶつをとめるぉ! エステ=パロマ=ダ=ヨツデスネル!!」

 ピリンが宇宙真珠と紅水晶で出来た花の形をした杖を振るい、二メートル近くはある薄黄色の軟体生物――ヨツデスネルがピリンの目の前に仄かな光と共に現れる。ヨツデスネルは突き出た両眼の他、四つの触手を持っていた。

「ナメちゃん、いえをこわしているやちゅらをとめてぉ!!」

 ピリンがヨツデスネルの名を呼んで、ヨツデスネルは触手の先から半透明状の粘液弾を出して、猛獣たちを止めようとした。

 ところが、猛獣たちは粘液弾を浴びると、形が崩れて霧のように消えてしまったのだ。

「どういうことだ!?」

 ドリッドがそれを目にして驚いていると、デルパ長老がファナとミラが現れた。

「おお、皆さん。来てくれましたか」

 デルパ長老が二人の孫に支えられながらワンダリングスに呼びかける。

「デルパさん、これは一体......」

 ブリックが尋ねてくると、空から高笑いが聞こえてくる。

「ハハハハハ、初めまして。ワンダリングスの皆さん」

 一同が見上げると、地上で暴れている猛獣に翼を生やした獣に乗っている人間型異星人の青年が現れたのだ。青年は青緑色のヘッドギアやアーマーなどの装甲を纏い、ヘッドギアから黄土色の短髪が出て中韓肌に面長顔、薄青い瞳に切れ長の眼、体格は細めだが鍛えられているようだった。

「お前がやっていたのか!!」

 ドリッドは空中にいる青年に向かって叫ぶ。

「やれやれ、連合軍の雇われ兵団とはいえ、粗暴で下品な口調ですね。

 そうです。彼らを操っているのは、この私。トゥイステです」

 青年は慇懃無礼な態度でワンダリングスでもわかる言語で挨拶する。

「あなたもベラサピアやエルダーンと同じ"あのお方"の配下なの!?」

 リブサーナがトゥイステに質問を向けてくる。

「ああ、あなたがエルダーン閣下が言っていたリブサーナですか。私も"あのお方"の配下です」

 トゥイステはすんなりと答える。

「さっき、いえをこわしているどーぶつにナメちゃんのねんえきをぶちゅけてきたけど、きえたのはなんでなの?」

 ピリンがトゥイステに尋ねてくると、トゥイステは答える。

「彼らは私が創り出した風を集めて形成した部下です。こんな風に」

 そう言ってトゥイステは右手を伸ばして小さな旋風が一つの形になって、灰色の一羽の兎の形となった。

「ああ、だから攻撃した時、消えたのか......」

 ドリッドが納得する。

「何故、ここにあたしたちが来るってわかったの? 昨日村に来た時、あんたの気配や姿はなかったのに......」

 アジェンナがそれを不思議がると、トゥイステは答える。

「まぁ、あなたたちは気づいてはいなかったでしょうが、私が創った風の小鳥をフィーザ族の村に送り込みましてね、創造神の魂の結晶のありかも、ワンダリングスのことも教えて下さったんですよ」

 リブサーナたちはここがすでに"あのお方"一味に知られていたことに恐れ、更にトゥイステの生み出す風の猛獣戦いにはさぞ苦戦するだろうと察していた。