4弾・7話 宇宙廃城探索



 ウェルズ星大統領子息ハミルトンは現場リポーターになるための研修先をワンダリングスに指名し、ウェルズ星の宇宙連合軍からの迎えが来るまでの一五〇時間をワンダリングスの宇宙艇ウィッシューター号に滞在していた。衛星規模の宇宙市場(コスモマーケット)でハミルトンが身代金目当ての宇宙人(エイリアン)に誘拐されるというアクシデントに見舞われるも、ワンダリングス兵団の活躍によって救出された。

 薄青い魚型の宇宙艇ウィッシューター号はクシー星域の宇宙空間を移動していた。瑠璃色に大中小の衛星や惑星、青や白や青の星々が浮かぶ中で、ウィッシューター号は後部から青白い放物線を出しながら、宇宙を駆けめぐっていた。

 宇宙艇内は天井と上壁が象牙色(アイボリー)、床と下壁が暗銅色(ダークブロンズ)と装飾されており、コックピット窓が画面になり、一段高い場所には艦長の椅子と盤状モニターにコントロールパネルが設置されたウィッシューター号の司令室――。

 盤状モニターからは褐色の髪をオールバックにし口ひげ、ツリ目の黄金色の眼に中間肌、仕立てのいい紺色のスーツをまとった人間型星人(ヒューマンがたエイリアン)の顔が映し出され、黒い甲体に黄色の複眼と双眸を持つワンダリングの長でウィッシューター号の艦長のグランタス=インデスが対話していた。

『――そうか。息子が誘拐されそうに……。まぁしかし、君達ワンダリングのおかげで誘拐犯は捕まり、息子は救出されたか。引き取りの一五〇時間までは六十八時間ある。引き続き息子の研修を頼むよ。インデス殿』

「はっ」

 ここで通信が切れ、ハミルトンの父であるウェルズ星大統領の顔と声が消えた。

「はぁ……」

 グランタス艦長はウェルズ星大統領から自分が預かっているハミルトンが誘拐されたことを話したら、ワンダリングスの活動の中止を余儀なくされてしまうと思っていた。何よりハミルトンのお守役兼ボディガードの選ばれたリブサーナがハミルトンを守る筈がその役目を果たせず誘拐されたことを悔んで、射撃や体術の訓練で悔い改めていた。

「さぁて、どうしたらいいものか……」

 グランタス艦長が考えていると、ビーッビーッと機体が宇宙空間内の物体と接触する警報が鳴った。グランタス艦長が盤状モニターに映し出されたレーダーと座標を確認すると、ウィッシューター号からそう遠くない位置に巨大な建物があることに気づいた。

 コックピット窓のモニターにデータを送ると、コックピットモニターの画面いっぱいに巨大な宇宙廃城があるのを目にしたのだった。

「失礼します」

 司令室を離れていたドリッド、ブリック、アジェンナ、ピリン、リブサーナ、ハミルトンが警報を聞いて司令室に入ってきた。

「うわーっ、なにあれぇ!?」

 ピリンがコックピット窓に映し出された宇宙廃城を目にして叫ぶ。宇宙廃城とは元々は宇宙空間を移動する城型の宇宙艇もしくは宇宙空間を衛星の上に建てられた巨城を示すのだが、ワンダリングスが見つけた宇宙廃城は城型の宇宙艇のようで、壁や屋根には亀裂が入り、小石のような破片が宇宙空間を漂い、二等辺三角形を二つ並ばせた機体の真上には宇宙各所の植物の木やツルやツタがおびただしい程に広がっていた。

「こんな物も宇宙にあったんだ……」

 ハミルトンが宇宙廃城を見て呟いた。

「こりゃ調査してみないとわからんな。ワンダリングス、宇宙廃城を調査し、何か手あたりしだい見つかったら報告せよ」

 ワンダリングスは宇宙空間の中の宇宙廃城の中を調べるために、調査活動を開始した。


 宇宙廃城の調査活動はグランタス艦長がウィッシューター号に残り、ドリッド達艦員(クルー)五名と報告書のまとめのためハミルトンが行動することとなった。

 ワンダリングスは酸素などの有機体に無害な元素のない惑星や宇宙空間で行動する時は必ず宇宙服をまとって活動する。

 ワンダリングスの宇宙服は特殊合成材と硬化プラスチック窓のメットと宇宙での衝撃を防ぐ対衝撃材入りのスーツ、そして背中に酸素パックを背中に装着し、ウィッシューター号のチューブ状の出入り口から出て、宇宙廃城に降りたつ。メットには呼吸器の他に一定の距離なら通信できる連絡機も搭載されている。ウィッシューター号は宇宙廃城の塔の大きく崩れた部分に停泊させ、艦長以外の艦員(クルー)はそれぞれ廃城のどこに行って何を調べて回収するか話し合った結果。

「俺は武器庫を調べてくる。使っていない銃刀類があれば、それなりに売れるだろう」

と、ドリッド。

「私は医薬品を調べる。調べればどんな医術を施していたかわかるしな」

と、ブリック。

「あたしはこの城の衣食住を調べる」

 そう申し出たのはアジェンナ。

「ピリンはおたから。まだありしょーなきがするぉ」

「えー、そしたらわたしは何をやればいいの?」

 リブサーナが呟くと、ブリックが船上の荒れ果てた庭園や菜園に目をやる。

「リブサーナは廃城になる前のこの城で何の作物ができてたか調べること。向いているだろう?」

「いくらわたしが農業惑星ホジョの住人だからって……。ま、行ってみますか」

 リブサーナはやれやれと言うように廃城の作物場跡を調べることにした。

「となりゅとハミルトンしゃんは?」

 ピリンがハミルトンに目をやる。

「ハミルトンは我々が二十分おきに交替することで現場の調査レポートを受けてもらおう。流石に衛星市場(サテライトマーケット)の件で一人だけに任せるという事態はまずかった」

 ブリックが言った。まずはドリッドがハミルトンと共に武器の調査をすることとなった。


 宇宙廃城の中は本当に城の破片と塵、宇宙船の欠片などといった宇宙ゴミが漂っていた。しかも無重力空間のため大きく跳ねたりすると、壁や天井にぶつかるため気をつけてホバリング移動していた。

 武器庫はいくつにも分かれており、「銃弾室」やら「刀剣室」と武器の系統に分類されており、灰色や茶色の埃が漂う中、壁にかかっていたり棚に挟まっている武器をドリッドが見つけた。武器庫の扉は暗号を入れないと入れない電子ロック扉であったが、最低でも数十年は使われていない城の電子ロックはすでに機能停止しており、ドリッドが軽く蹴破っただけで入れた。蹴破られた扉はガン、ゴンと壁や天井にぶつかり棚と棚の間に引っかかった。

「思っていたより結構あるなぁ」

 ドリッドが廃城の武器庫の中を見て感心する。壁にかかった長短の剣、斧、矛先の異なる槍、盾にはこの城の紋章らしき絵が刻まれており、星と剣が描かれていた。他にもクロスボウや弓、銃も弾丸装てん式やエネルギーパック式、素材も鋼や鉛、鉄とチタンの合金、見たこともない金属もあった。

「こりゃあよっぽど高度な文明や技術があったんだよなぁ。流浪の国家にしては兵器水準が高い方だ……」

 ドリッドが武器を見て感想を述べる。防具も手甲やすね当て、鎧にヘッドガードもあり、堅そうな割には軽くて丈夫そうに見え、武器庫の向かい側には武器工房があり、今は使われていないが竈に金属台、金属を鍛える金槌や剣や矛先の鋳型、溶かした金属を流し入れる金属管もあった。

「武器庫と武器工房、それに道具……」

 ハミルトンがその様子を自身の所有している掌に入る大きさの電子カメラに収めていた。


 ハミルトンのお供はブリックにバトンタッチされ、二人は廃城の医学室や薬局を訪れていた。

「これは凄い……」

 ブリックが廃城の医療室や器具を見て呟く。廃城の医療室は執刀室、検査室、薬剤室と数種あり、天井から手術を行う遠隔操作メスの手術台、透視や放射線による治療の器具も割れ欠けがあるものの形をはっきりととらえることができ、薬を調合する部屋も割れたガラス棚やビンやフラスコが宙を漂っていた。ブリックが浮いている医薬品ケースを一つ取ると、ブリックたちがあまり馴染まない星の言語で品種名と効能が書かれたラベルが貼ってあった。液状薬に入る医療ポッドもカバーの外装が破られていたが、それでもウィッシューター号のよりは高度に思えた。

 ハミルトンも医療室の様子を写真に収めて、取材していた。


 ハミルトンは続いてアジェンナとピリンについていき、廃城に衣類や調度品がまだあるか確かめることになった。

 廃城の居住区は身分によって部屋の広さや家具の数が異なり、王族の部屋を作るお針子部屋には一度に一〇束の糸が紡げる紡績機、電動機織り機も数台あり、ミシンなんかはデータ入力すればボタンホールや刺繍が施せる高性能品であった。

 台所は一度に十人が入れそうな防水防腐合金の扉、三段のオーブンや巨大な流し台、訪朝は磁石板の収納棚に入っていて宙を舞うことはなかったが、長短や刃先によって肉用や野菜用に分かれていた。

 居住区の部屋にはすり切れた毛織のじゅうたんや所々綻びたシーツや枕、タンスの中は一部屋数枚ずつしか残っていなかったが、王族や大臣や使用人が使っていた肌着や靴下や上着や靴が見つかり、皮靴や植物繊維や獣毛、化学繊維の原料で作られていることがわかった。他に見つかったのはカメラ付きの携帯端末や二〇ケタの電卓や色あせた写真、折れたブラシやねじ式時計といった生活用品が見つかった。写真なんかは元々色付きだったものが長年の汚れで赤茶色に変色しており、この城は人間型(ヒューマンがた)星人(エイリアン)の所有だったことが判明した。端末や電卓も壊れており、ハミルトンは電子カメラで廃城の生活跡を撮影していた。

「しゃ〜て、ちゅぎはおたからだぉ!」

 ピリンは意気揚々になり、居住区の片隅にある宝物庫に足を向けた。宝物庫は電子キーで暗号を入れない限りは入れない場所のようだったが、長年の放置でそんな機能は使いものになってなくってラッキーだった。電子キーの扉はアジェンナの一蹴りで外れて入れることができた。

「おおっ!!」

 ピリンは宝物庫の様子を見てうなった。鉄や鉛の金属製の箱に詰められた金貨や銀貨の山、赤や青や緑の貴石、巨木のような桃色や青の宇宙サンゴ、ピリンの掌ほどもある宇宙真珠、極彩色の壺や水晶のオブジェ、他にも数え切れないほどの宝があった。

「わぁーい、おたからだぉ!!」

 ピリンは宝石の山にダイブして、重力で金貨や宝石が飛び跳ねて浮いた。

「おや、これは……」

 ハミルトンが飛び散った宝を一つずつ手に取って呟く。

「どうしたの?」

 アジェンナが尋ねると、ハミルトンは手に取った金貨を一枚ずつアジェンナに見せる。金貨や銀貨はどれも大きさや形、単位や刻まれており紋章が異なり、一つ目は円にワシのような猛禽類のような紋章、二つ目は正方形に鮫のような紋章が入ったもの、という風にバラバラであった。

「ふーむ、この城は多種多様な種族と同居していた国家艇なんだろうね。貨幣が全部異なるのはどこの星域や惑星でも使える、っていう手法なんでしょうね」

 アジェンナが金貨の異なり具合を見て推測した。

「これもレポートに載せなきゃ」

 ハミルトンは廃城の宝物庫にあった貨幣を一枚ずつ電子カメラに撮った。アジェンナはお宝の海に埋まるピリンに言った。

「ピリン。あまりお宝に固執するんじゃないよ。星域によっては、トレジャーハンティングは犯罪になったりすることもあるんだよ」

「ええ〜」

 ピリンは不満そうな声を出し、アジェンナはピリンをお宝の山から引っ張り出した。


 リブサーナは単体とはいえ、宇宙廃城の甲板部分に当たる庭園の探索をしていた。庭園は宇宙空間が見える透明張りの窓、電子光パネルが数十枚も天井近くに下がり、庭園は芝生と土だが、長年の放置で土の養分はなくなっていて砂利とザラザラに乾いて変化しており、芝や草木もとっくに枯れて乾いて干からびており、生命力の強いツタとツル植物だけが壁や床にはびこっていた。

「水はどうしていたんだろう?」

 リブサーナが庭園を見まわしていると、庭園に透明強化材と金属で出来た巨大な桶がいくつもあるのを目にし、そこからチューブホースを接続して水をまく仕組みになっていた。

 そして透明桶にチリと装置の破片に混じって、丸芋大の透明な種が入っているのを見つけた。<水生みの種>である。

「ああ、そうか。宇宙艇の城では地下水脈がないから、<水生みの種>で水資源をまかなっていたんだっけ……」

 宇宙廃城の庭園には水がないため、水資源の多い惑星で生まれる<水生みの種>で作物や草木を育てていたことをリブサーナは知った。貯水桶の他には巨大な櫛のようなクワがついた耕運機(トラクター)が埃をかぶっており、庭園の隅には肥料畑があり、降り立った惑星の生物や住民の排せつ物で作物を育てる肥しを作った黒くて固い土の上には四角い金属スコップが数本も近くを浮いていた。

「このお城が活きづいていた頃、どんな植物や作物ができていたんだろう……」

 リブサーナは想像しだした。人間(ヒューマン)型、鳥型、獣型、魚型、蟲型の多種多様な宇宙人(エイリアン)たちが集まって一つの国家をなしあげ、それぞれが料理人や衛兵やお針子といった役割分担をし、庭園では農業学の知識と技術が豊富な宇宙人(エイリアン)たちが耕運機(トラクター)で畑を耕し、肥しを作り、貯水桶の水をホースでまき、天井の電子光パネルで光を与えて果物や野菜、穀物や観賞用の花を作って過ごしていたと知ると、生命にあふれる宇宙艇城を見てみたいと思った。


『……こちらハミルトン。応答願います。庭園に向かっています。……どうぞ』

 リブサーナの宇宙服のメットにハミルトンからの連絡が入った。リブサーナはその声で想像から現実に引き戻された。

「あ、はい。こちらリブサーナ。どうぞ」

 リブサーナは返答し、ハミルトンの応答に出る。ツタやツルがはびこる中の庭園の出入り口からハミルトンがやってきた。庭園の植物に引っかからないようにホバリングで移動してきたのだ。

「ねぇ、庭園以外の探索や調査はもういいの?」

 リブサーナがハミルトンに尋ねてくると、ハミルトンは「ああ」と答えた。

「それにしても広い上に密林(ジャングル)みたいな庭園だな〜。長いこと放っておかれていたとはいえ、迫力あるよなぁ」

 ハミルトンが庭園の様子を見て呟き、庭園の様子を収めるために小型の電子カメラで庭園の貯水桶や耕運機(トラクター)などを撮影して収めていた。

 リブサーナはハミルトンの様子を見て、現場リポーターになろうとする彼の努力を目と気持で感じとっていた。その時だった。

「ん?」

 リブサーナは気配を感じ、自分とハミルトンの他にも庭園に来ていたのかと感じた。

(わたしたちワンダリングスの他にも調査に来ていた宇宙人(エイリアン)がいたのかな? それともこの宇宙艇に生き物が住むようになったのかしら……)

 リブサーナが庭園の茂みの中にいる存在を調べようとしたその時だった。

「うわあああああ!!」

 メット越しとはいえ、ハミルトンの叫び声が聞こえてきた。

「は、ハミルトンさん!?」

 リブサーナはハミルトンの身に危機が起きたと気づくと、ハミルトンのいる方向へホバリングで移動した。

「ああっ!!」

 リブサーナが目にしたのは、何と球根や根菜に似た植物が細い根っこを脚にして動かし、頭に生えた葉っぱを手のように動かし、体の真ん中に赤い単眼があり、その真下に裂けたような口があったのだ。その五体がハミルトンの四肢を拘束し、メットの正面に張りついていた。

「たっ、助けてくれーっ!!」

 ハミルトンの恐怖におののく声がリブサーナのメット内の通信機にも入り、リブサーナは急いで宇宙服の他にも装備していた携帯銃(ハンドライフル)を出して、エネルギーパックを装てんし、ハミルトンを拘束している怪植物に銃口を向けて、ハミルトンを解放した。

 怪植物は携帯銃の熱線を受けて内部で赤く燃えて破裂した。怪植物の残骸は黒く燃え焦げて硝煙が残った。

「だ、大丈夫!?」

 リブサーナはハミルトンに駆け寄り、ハミルトンは半ば腰を抜かしており、二〇センチほど宙に浮いていた。

「あ、ああ何とか……」

 リブサーナに体を支えられて、ハミルトンは起き上がる。

「今の植物は一体……!?」

 リブサーナが問うと、ハミルトンが答えた。

「あの植物たちは……、宇宙の放射能や特殊オーラを浴びたここの宇宙艇の植物たちが自立活動や五感や感情を持つようになって、宇宙艇の庭園に棲みついたんだよ、きっと……」

「そんな……」

 リブサーナは降り立った星の植物が他の生き物を捕食したり獣のように動いたりする所を見てきたが、それは世代や環境を越えた進化の過程だったから納得できたが、うち棄てられた宇宙艇の植物が何らかの理由で動くのはあまり見聞しなかった。植物園の出入り口の扉が開きっぱなしなのを目にして、リブサーナはハッとなった。

「ハミルトンさん、もしかしたらあの植物たち、この庭園を抜け出してアジェンナ達を襲っているかもしれない!! 何とかして止めないと……!」


 リブサーナの案の定、宇宙廃城の怪植物たちはハミルトンが扉を開いたままにしたのが原因で宇宙廃城内に広がっていた。

「わわっ、なんなの、こいちゅら〜」

 アジェンナと合同活動していたピリンが怪植物を見て気味悪がった。根っこを脚に、頭から生えた葉を手にしていて単眼も口もあるのだから仕方ないが。

「全く、倒しても倒して湧いてくるわ! 害虫みたい!」

 アジェンナはレーザー光線を駆使して怪植物を次々に倒していき、怪植物は破裂していくが、一〇体倒せばその二、三倍が後から出てくるのだ。


「くそっ!!」

 ドリッドも突如現れた宇宙怪植物の出現に驚くも、携帯銃(ハンドライフル)のレーザー光線で怪植物を次々に撃ち倒すが、いくら倒してもキリがないという状態であった。

 途中で合流したブリックも銃のレーザーで怪植物を倒していくが、なかなか手つかずであった。

「銃でちまちま倒していったら俺らが疲れて奴らにやられちまう! そうだ、ブリック。お前、廃城の薬品を調べていただろ! あの中にある可燃性の医薬品でこいつらを焼き払ったらどうだ!?」

 ドリッドがコツコツ倒していくより一気に倒す案を思いついたが、ブリックは首を横に振った。

「それは出来ない! 薬品はみんな長年の放置でみんな酸化したり風化したりで、燃やしたら我々まで危険な目に遭う可能性も高い! だから使えないんだ!」

「そんな……!」

 ドリッドがそれを聞いて失望するが、怪植物退治でそんなことを考える暇はなかった。

 リブサーナとハミルトンは庭園を出て、壁や床を蹴りながら仲間の救出に向かっていった。

 ワンダリングスはこのまま宇宙怪植物の餌食になってしまうのか!?

 そして、グランタス艦長は仲間の危機を救ってくれるのか!?