「何、謎の融合闘士にブレンダニマを倒されただと?」 巨大な台形の部屋の最上段にいる総統が一つ下の段にいるユリアスに訊いた。 「はい。その融合闘士は飛行型、空を飛べる者で強い力でブレンダニマをふっ飛ばして川に落としたのです……」 ユリアスはブレンダニマを倒された日の供述を語った。 「ふーむ。しかも白い融合獣とその小娘はお前の誘いを断って、挑んだのか。そしてブレンダニマを倒した奴のことも気になるしな。よし、ユリアス。お前の融合獣を連れて、例の小娘を誘ってみろ」 厚手のカーテンで仕切られ、シルエットの総統はユリアスに命じた。 「了解」 ユリアスは返答した。 この週の休日前登校日は雨がしとしと降っていて、あちこちの敷地や道に水たまりを作っていた。ラザン地区五番街のファーストフード店でジュナ・エルニオ・羅夢・トリスティスがいた。ファーストフード店はいつもの四人の他にも上級学生や大学生、ビジネスマンが来ている。四人は店の奥の四人掛けの席に座り、ジュナからこの間、自分をブレンダニマから助けてくれたフューザーソルジャーのことを語った。 「男の人で二十歳手前で飛翔族の融合獣と融合していた。しかも、ブレンダニマを弾き飛ばすほどの強さ……」 エルニオが腕組をしながら例のフューザーソルジャーの想像を浮かべる。 「気になりますよね。その人は。名前とか訊かなかったんですか?」 羅夢が氷菓子(クレメエイス)をプラスチックのスプーンですくいながら舐める。四人の頼んだ商品はみんな異なり、羅夢はミルヒェンクレメエイス、エルニオはクレーメフェイコ(カフェオレ)、トリスティスは甘くてみずみずしいピチモの炭酸水、ジュナはラプルテ(クレープ)のリゴルと粉末シモネを選んだ。 「うん。風のように現れて、風のように去っちゃったから……」 ジュナはセルフサービスの紙コップの水を飲みながらリゴルの塊を飲み流す。 「てか、そのさ……ジュナを襲った奴もけっこー気になるよな。アルイヴィーナの理想とか安定とか……」 エルニオは腕組をして目を糸にする。 「それってよくこの手に出てくる悪者とヒーローみたいよね」 トリスティスがにやつきながら人差し指を出す。 「でも、今度会ったらお礼しなきゃ。わたしを助けてくれたんだもの」 ジュナは呟く。 「あっ、そうだ。ジュナちゃんてもうすぐ十三歳なんだよね。何か誕生日にやることとかなあんの?」 トリスティスがストローで炭酸水を飲みながら訊く。 ジュナの誕生日、これから四日後の五月二十九日が彼女の誕生日で、十三回目である。 「えっ、いや、別に……。てか、ママは働いているし、この日は平日だし、どうしようかは……」 「ジュナさん、わたしたちで誕生日のアメルモグフェ(ケーキ)買いましょうよ。お金出しあって。その後はお母さんとラグドラグとパーティーしましょうよ」 羅夢がジュナの誕生日企画の提案を出してきた。 「おー、いいねえ」 「それでも楽しい誕生日になるよお、ジュナちゃん」 エルニオとトリスティスも賛成した。 「あ、ありがと、みんな……」 ジュナは恥ずかしそうに笑う。その後、まだ雨が降っている窓を見て呟く。 (お兄ちゃんは、わたしの誕生日を知っているのかなぁ。わたしは、お兄ちゃんの誕生日を忘れていたと行ってもおかしくない) 誕生日というのは、生まれてきたその人や生き物の成長や長寿を祝う大切な日だ。中には母の死と引き換えに生まれてきた子供もいる。その子は忌み子と呼ばれている。ジュナは自分がそうでなくてよかったとつくづく思った。 五月二十九日、晴天。種作(たねづくり)と呼ばれるこの節気は雨の日が多いが、この日は碧の空がすがすがしく、白金の太陽が照っていた。 ジュナはおなじみの三人と一緒に学校の帰りにラザン区五番街にある製菓店『甘味畑』でジュナの誕生日祝いのアメルモグフェを買いに来た。ガラスの商品棚には色とりどりのアメルモグフェが十何種類も並んでおり、ホールもあればピース売りもしていた。 「お誕生日祝いですかぁ?」 と、若い女性の店員が話しかける。 「え、はい。わたしの……」 ジュナは突然話しかけられてびっくりしたが、それでも赤と緑のストライプのスポンジ部分+桜色のクレメ+赤い大きな果実ストベが乗ったアメルモグフェを選び、二クラン払った。 一行は店を出て、ジュナは保冷剤とアメルモグフェを入れた白い箱を持って帰る。カーガー停車場までみんなと一緒に帰ることにした。ジュナはほくほく顔で先頭を歩き、エルニオ・羅夢・トリスティスがついてくる。 「ジュナさん嬉しそうですねぇ」 羅夢が歩きながらエルニオとトリスティスに言う。 「ああ。学校の友達、ラヴィエとダイナからもプレゼントをもらったというし」 ジュナは同じクラスの友人、ダイナ・タビソとラヴィエ・ネックからも誕生日プレゼントをもらった。ダイナからは綺麗な花柄のメモ帳とノート、ラヴィエからはレースが付いたピンクのハンカチをもらった。他にも背中のバックパックにプレゼントが入っている。羅夢からはキルス(絹)のリボン、トリスティスからは朱サンゴのブレスレット、エルニオからは虹色プリズムのヘアピンをもらった。十二歳までの誕生日は両親からしかプレゼントをもらっていたから、こんなに初めての贈り物を受け取ったのは生まれて初めてだったので嬉しかったのだ。五番街の街中は店舗、公共場、住居という構造である。夕方の街は老若男女、様々な人々であふれている。だが、この街中に嬉しそうに歩いているジュナを狙っている者がいた。それは五番街の五階建て屋根付きビルの頂からジュナを狙撃した。黒い光線をジュナに向けて撃ってきたのだ。光線はとてつもない速度でジュナに迫ってきている。が、ジュナは気づかない。その時、エルニオが殺気を感じた。 「ジュナっ、危ない!」 「えっ?」 ジュナはエルニオに呼ばれて振り向き、その拍子で地面の石を踏んづけて後方に転んだ。 「あっ……」 転んだ拍子でアメルモグフェの箱が手から離れ、ジュナを狙っていた光線が箱を貫き、地面を削って消えたのだ。 「あいたたた……。転んじゃった……って、あ――っ?」 ジュナは貫かれてぐしゃぐしゃになった箱を目にし、開いてみるとああ、アメルモグフェが無残な形になってしまっていた。 「せ、せっかくみんなで選んで買ったのにー……」 ジュナはショックを受け、目を潤ませる。エルニオはジュナに駆け寄り、ジュナが撃たれそうになったと説明した。 「わたしが狙撃されそうに?」 「ああ。さっき殺気を感じた。ここから南半ラヴァン(七五〇メートル)の建物の上で飛び立つ人物を見かけた。そいつがジュナを狙ったんだと思う。……恐ろしい奴だ」 エルニオはその方角をチラと見る。 「超高性能のスコープ付きレーザーライフルですかね、ジュナさんを撃とうとしたのは……」 羅夢が呟くと、エルニオは「ライフルじゃない」と首を振る。 「レーザーライフルなら白や黄などの明るい色だ。というのも暗いところでもわかるように造られているから。この黒い光線はレーザーライフルじゃない。壁弾これは融合闘士の仕業……」 エルニオが光線の説明を語ると、トリスティスが不快な顔をする。 「融合闘士……? でもどこの誰が……? もしかして……」 四人は思った。ジュナを撃とうとしたのが誰なのかを。 「ダンケルカイザラント……」 奴らしかいない。ジュナが融合闘士でブレンダニマを倒したのを知っているのは。他にもジュナに倒されて捕まったフューザーリオターや融合獣を悪用して泥棒をやったセトリスの身内の復讐かとも思ったが。 「そうか、ダンケルカイザラントか……」 ジュナは立ち上がって、歯を食いしばり怨みの言葉を放つ。 「わたしのアメルモグフェをこんなにして〜〜?」 「ジュナさん、怒るとこ違いますよォ」 「いや、あれでも充分な恨みでしょ」 羅夢が突っ込み、トリスティスが手を振る。その時、ジュナの服の胸ポケットに入れていた携帯電話が鳴った。ジュナはムクレ顔で取りだし、電話に出る。 「もしもし、ママ? うん、アメルモグフェね、みんなでお金出しあって買ったんだけどね、つぶれちゃったの。……うん、うん。えっ、ママが買ってくれるの? ありがと〜。じゃ、急いで帰って待ってるから!」 ジュナは母親との通話を切り、三人に笑顔を向ける。 「みんなー、ママが新しいアメルモグフェを買ってくれるって。もう大丈夫だよ」 「よ、良かったね……」 三人は苦笑しながらジュナの立ち直りの早さにずっこける。食べ物の怨み忘れるの早すぎだろ……。 しかしジュナたちは解散して、それぞれの家に帰っていった。 家に着いたジュナは母親が帰ってくると、自身と母親とラグドラグの三人で誕生日を祝った。 めったに食べれない牛のサーロイン焼きに四色米の蒸し味飯、四色豆のサラダに甘いパプキのスープ、そして母親が買ってきてくれたアメルモグフェである。新しいアメルモグフェはココンとプレーンのマーブル模様のスポンジとクレメ、そして大きなストベが十二も乗っかった素晴らしいものである。 「あー、今年の誕生日は良かったなー」 お風呂上がりのジュナは白地にオレンジの十字架のプリントが入ったTシャツとオレンジろ半ズボンのパジャマを着て、自室に入る。ベッドと本棚とモニターと二つの机とコンピューターのあるジュナの部屋は夜は天井が星夜の見える穏やかな雰囲気である。コンピ机のコンピューターの画面下の手紙マークが点滅している。電子メールが届いたのだ。 「誰から来たんだ?」 ジュナはコンピューターを操作し、メールを見てみた。差出人は……。 「ジュナ・メイヨーよ。私はダンケルカイザラントのユリアスだ。先日は翼の融合闘士に邪魔されたが、お前の実力がどれほどか知りたい。明日、ラガン地区の荒れ野で待っている。 ユリアス」 ジュナはダンケルカイザラントからのメールを見て、ダンケルカイザラントに目をつけられてしまったことを大変悔んだ。しかし、このメールを自分の携帯電話に移し、エルニオたちに送ると、母親に知られぬよう破棄した。 次の日、ジュナはラグドラグと共に家を出て、ラガン地区にあるユリアスが指示した待ち合わせ場所へと出かけた。この日は学校のない休日で、母親も都市開発の仕事がお休みで一日中家にいる。しかしジュナは昨日自身を狙撃したユリアスとの戦いで休みの日を利用して出かけたのだ。母親には「学校の同級生達と勉強会しに行く」という口実を設けて。市街地はラガン区の九番街の片隅にあって、エルゼン区へのお使いでもよくとおりかかっている。そこは草地で草はジュナの首から下までが埋まるほど長く、まだ何も建てられていない。 「空が少しやばいな」 ラグドラグが西風と空の灰色を見て呟く。 「うん……。あっ、来た」 ジュナが空から飛んできたエルニオを見て言う。ツァリーナと融合したエルニオは緑鳥の鳥人間の姿をしており、両脚と両手が蹴爪、背中の翼と尾羽が金色である。地に着くと、緑の旋風に包まれ、融合を解除して緑鳥型融合獣ツァリーナとエルニオの姿になった。そして耳と尾が長い桃色の小型獣の融合獣ジュビルムを連れた羅夢と剣魚の融合獣ソーダーズを連れたトリスティスがやって来た。 「これで全員そろったね」 トリスティスがみんなの顔を見て言う。 「うーむ、しかし気になるのはユリアスってやつの融合獣だよな。まあ、融合適応者だってことぁジュナ以外の僕らは気づいていたけど。ああ、あとそれと数日前の爆破事件だが、爆破はテロでも爆弾でもなく、上空から落ちてきたそうだ。多分、街破壊のテストだったんだろう」 「破壊……」 羅夢が青ざめ、トリスティスは「誰が?」と訊ねる。 「誰ってっても、やっぱりジュナが倒したあの怪物だったんじゃ……」 エルニオが言った。融合適応者になった者は一年以上体内の契合石が活性化して、融合適応者かそうでないかの区別がつくようになる。その時、生温かい風とその風が奏でるヒュオーという音とともに、ラグドラグ、ツァリーナ、ジュビルム、ソーダーズが邪悪な気配を感じた。 「来た!!」 草地の向こうから黒づくめの男、ユリアスと黒い獣の融合獣が歩いてきた。融合獣は狼(ワウォル)のような姿で、体もラグドラグより大きめで、毛色は闇のような漆黒、胸から腹と四肢が白くて、眼は血のように赤く、左の首筋に赤い契合石がついている。 「き、来たわよ。ラグドラグと……」 ジュナはユリアスを見て、怯えながらも胸を張る。 「そうか、よく来てくれたな。紹介しよう。彼はヴォルテガ。私と契約した融合獣だ」 ヴォルテガは血潮のような紅蓮の瞳をぎょろつかせ、べろりと桃色の舌を舐めまわす。 「見たまま、気性が荒らそうですね」 ジュビルムがみんなに言う。 「しっ、火に油っすよ」 ソーダーズが制した。 「この間は、有角有翼の融合獣に邪魔されて、しかも私は融合獣を連れていなかったからな、思う存分、ヴォルテガを暴れさせることができる……。ふふっ、どうする? 逃げるなら今のうちだが?」 ユリアスがジュナに訊ねる。 「い、いいえ。戦います。でも、一つだけ条件があります」 「何だ?」 「この場にいるわたし達以外の他の人たちを巻き込まないでください。特に、わたしの母は引っ越したばかりで、やっと落ち着いたとこなんです」 「……人が好すぎるな。だが、自分ではなく他者優先にしたのは間違いないな」 そう言ってユリアスは叫んだ。 「融合発動(フュージング)!!」 ユリアスの中の契合石とヴォルテガの契合石が発動して、両者は闇の渦に包まれ、闇が消え去ると融合したユリアスが出てきた。 頭の上半分は黒い狼で赤い瞳をぎょろつかせ、全身に全身に黒い体毛を覆わせ、両手両足の全指に鋭く長い爪、腰には黒いふさふさの尾、左肩に赤い契合石が血のように煌めく。 「行くよ、ラグドラグ」 「おう」 ジュナとラグドラグも融合発動し、白いオーラに包まれ、白い竜頭・竜尾、竜四肢、竜翼と胸に明紫の契合石をつけたジュナが現れた。そして白と黒の融合闘士の戦いが切って落とされた。ジュナは右ストレートを繰り出し、ユリアスの顔に向けてきたが、ユリアスは左手で食い止め、左手でジュナの腹にパンチを繰り出す。ジュナは後方に飛ばされ、草地に転がりこむ。 「うう……何て強さ……」 ジュナは腹を抱えながら、自分のダメージを測る。 「大丈夫か?」 ラグドラグがジュナに訊く。 「うん。でも、何とかしないと……はっ」 ジュナが起き上がろうとした時に、ユリアスがその場に大跳躍してきて、左肩の契合石から赤黒い刃の湾刀を出してきた。その刃を向けて落下してきた瞬間、ジュナも急いで剣を出してユリアスの刀を喰いとめた。 ガチーンと刃の音がぶつかり合い、二人は後方に下がる。両者とも剣を振りおろし、ジュナの剣からは白い斬撃、ユリアスの太刀からは黒い斬撃が出て地面を走り、衝突して地面が裂けた。ジュナはこの光景を見て目を白黒させるが、ユリアスが目の前に超高速で現れ、剣を持っていない左手で、ジュナのみぞおちにパンチを繰り出し、ジュナを吹っ飛ばしたのち、左掌から黒い闇の光線を出し、ジュナに向けて乱射してくる。ジュナにとっては卑怯と呼んでもいいほどの強さである。更にユリアスは回し蹴りをジュナに向けて地面に叩きつける。 ドォォンという音が空に響き渡った。 「うう……あたし、見ていられません!」 羅夢がジュナとユリアスのタイマンを見て、一旦は目をそむけていたもののジュナの様を見て、ジュビルムと融合しようとした。 「わ、わたしもよ」 トリスティスも頷く。 「いくか? タイマンでも、相手が強すぎるんじゃあ……」 エルニオも賛成した。羅夢&ジュビルム、トリスティス&ソーダーズ、エルニオ&ツァリーナは融合して、ジュナに助太刀をした。羅夢は桃色の長い耳と尾をもった獣人のごとくの融合形態、トリスティスはシャープな剣魚のフォルムの水色の融合形態、エルニオ金の翼と尾羽の緑鳥の姿の融合形態に。 地面に叩きつけられたジュナが這い上がろうとすると、ユリアスが剣を振りおろそうとしてきた。その時、両腕と胴体と左足が縄状のものによって縛られた。 「何だ?」 それは羅夢が二本の鞭でユリアスの体を縛ったからであった。そして更にエルニオが両手から緑の旋風風を出し、トリスティスが両手から渦潮を出してユリアスに攻撃してきた。ユリアスは後方に飛ばされた。 「やったぁ!!」 三人はガッツポーズをとる。だがユリアスはしぶとく立ち上がった。また何か攻撃してくるのかと思ったが、ニィと笑うと意外なことを四人に言ったのだった。 「お前たちの実力は充分に知った。今回はここまでにしておいてやる。命拾いしたと思え」 そして高笑いしながら、フッと消えてしまったのだ。 「……? どうして急に撤退したのか……?」 ラグドラグがユリアスの行動を見て、疑問に思った。 「さあ……」 四人は融合を解除し、それぞれの家に帰ることにした。ジュナはユリアスの攻撃をかなり受けていたが骨も折れてはいず、内臓も無事だった。家に帰った時に、雨が降って来た。 「ジュナ、お帰り。勉強会、どうだった?」 母親がアイロンをかけながらジュナに訊ねてくる。 「うん……。楽しい勉強会だったよ……」 苦しい嘘だが、母親には心配をかけさせなくなかった。ジュナとラグドラグはジュナの部屋に戻り、ジュナはベッドで痛んだ体を休めた。 「ジュナ、よく頑張ったよ。逃げないでよくユリアスにたち迎えられたな」 ラグドラグはジュナに言った。 「うん……。でもこれから気をつけるよ。ダンケルカイザラントのことを……」 ジュナの試練なのか運命なのかは知らないが、とにかくジュナの生活はだんだんと変わっていっているのだった。 ダンケルカイザランとの司令室。ユリアスとヴォルテガはダイロス総統に報告していた。 「……これが私の調べた例の少女とその融合獣、そしてその仲間たちのデータであります」 頭上のモニターを自身が持っているワイヤレスコントローラーで操作しながら、ジュナたち四人の融合闘士のデータを総統に報告した。 「でも、あいつらをもっといたぶりたかったのによ。あの小娘の断末魔を聞きたかったなぁ」 ヴォルテガが尻尾を振りながらユリアスに言った。 「ふっ、お前はまだ欲に飢えているのか。狼を模した姿のためか、血と戦を求めているようだな。まあいい。また今度味わえばいいさ……」 そしてデータを見せ終えると、ユリアスはヴォルテガと共に司令室を退室した。 |
---|